エジェクタピンとコアピンの豆知識

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インコネルの細物・小径旋盤加工におけるポイント

航空宇宙産業や化学プラントなど、高い耐熱性や耐食性が求められる分野で重宝されるインコネル。しかし、その優れた特性ゆえに加工が非常に難しい「難削材」としても知られています。特に、細物(細径)や小径の旋盤加工においては、一般的な材料では直面しない特有の課題が存在します。

この記事では、インコネルの細物・小径旋盤加工における具体的な課題と、それを克服するための重要なポイントについて解説します。

 

インコネルの細物・小径旋盤加工における課題

インコネルを細物・小径で旋盤加工する際には、主に以下の3つの課題が挙げられます。

加工硬化による工具摩耗の促進と寿命の低下 

インコネルは加工中に非常に硬くなりやすい性質(加工硬化)を持っています。特に、切り込み量が少ない細物加工では、加工硬化層が工具に繰り返し接触し、通常の材料よりも工具の摩耗が格段に早まります。これにより、工具寿命が大幅に短縮され、頻繁な工具交換が必要となり、生産性の低下やコスト増につながります。また、工具の摩耗が進行すると、加工精度も維持しにくくなります。

切りくず処理の困難さ 

インコネルの切りくずは、粘り気が強く、熱を帯びやすいため、工具やワークに絡みつきやすいという特徴があります。特に細物加工では、切りくずが排出されにくく、ワークへの傷や工具の破損を引き起こす可能性があります。切りくずの適切な処理は、安定した加工を行う上で非常に重要です。

びびり振動の発生と加工精度の低下 

細物や小径のワークは、剛性が低いため、加工中にびびり振動が発生しやすい傾向にあります。インコネルはその硬さから切削抵抗も大きくなるため、びびり振動がさらに顕著になります。びびり振動は、加工面の荒れ、寸法精度の低下、工具の破損といった問題を引き起こし、最終的な製品の品質に悪影響を及ぼします。

インコネルの細物旋盤・小径旋盤加工におけるポイント

上記の課題を克服し、インコネルの細物・小径旋盤加工を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

最適な工具選定

超硬合金の中でも、耐熱性と耐摩耗性に優れた微粒子超硬合金や、PVDコーティングが施された工具が有効です。特定のインコネル合金には、セラミック工具やCBN(立方晶窒化ホウ素)工具も選択肢となります。

最適な切削条件の設定

小さな送り量と切り込み量で加工することで、加工硬化層の生成を抑え、工具への負担を軽減します。しかし、小さすぎると工具の切れ味が悪くなることもあるため、バランスが重要です。

高剛性な機械と保持具の使用

 びびり振動を抑制するためには、機械全体の剛性が非常に重要です。主軸の剛性が高く、振動吸収性に優れた旋盤を使用することが望ましいです。また、ワークをしっかりと固定できる高剛性のチャックやコレット、必要に応じてステディレストや心押し台を積極的に活用し、ワークのたわみを最小限に抑える工夫が必要です。

インコネルの細物旋盤・小径旋盤加工ならお任せください

インコネルの細物・小径旋盤加工は、工具の摩耗、切りくず処理、びびり振動といった特有の課題を伴います。秦精工では、そんなインコネルの細物旋盤・小径旋盤加工を得意としています。細物旋盤加工・小径旋盤加工でお困りの際は、ぜひ秦精工にご相談ください。


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