エジェクタピンとコアピンの豆知識

ステンレスの細物・小径旋盤加工のポイント
近年、精密機器や医療機器など、様々な分野で需要が高まっているステンレス製の細物・小径部品。その旋盤加工は、高い精度と品質が求められる一方で、特有の難しさも伴います。当記事では、ステンレス細物・小径旋盤加工を成功させるための重要なポイントを徹底解説いたします。
なぜステンレスの細物・小径旋盤加工は難しいのか?
ステンレス材は、その優れた耐食性や強度から多くの分野で採用されていますが、旋盤加工においては以下のような特性が課題となります。
- 高い靭性と粘り気: 切りくずが絡みやすく、工具への負担が増大しやすい。
- 加工硬化: 加工によって表面が硬化しやすく、 加工を困難にする場合がある。
- 熱伝導性の低さ: 加工時に発生する熱が逃げにくく、工具やワークの温度上昇を招きやすい。
- 凝着性: 工具とワークが凝着しやすく、構成刃先が発生しやすい。
これらの特性に加え、細物・小径ワークは剛性が低いため、わずかな切削抵抗や振動によって変形しやすく、高精度な加工が難しくなります。
ステンレスの細物・小径旋盤加工のポイント
ステンレス細物・小径旋盤加工を成功させるためには、以下の各段階における適切な対策が不可欠です。
材料選定:適切なステンレス鋼種を選ぶ
ステンレス鋼には様々な種類があり、それぞれ機械的性質や被削性が異なります。加工する部品の用途や要求精度、コストなどを考慮し、最適な鋼種を選定することが重要です。
- オーステナイト系 (SUS303, SUS304など): 耐食性に優れるが、加工硬化しやすい。SUS303は快削性が向上しているため、細物加工に適している場合がある。
- フェライト系 (SUS430など): マルテンサイト系に比べると被削性は良いが、靭性は低い。
- マルテンサイト系 (SUS420J2など): 高硬度が得られるが、靭性が低く、割れやすい。
- 析出硬化系 (SUS630など): 高強度と耐食性を両立するが、加工難易度が高い。
加工条件:切削速度、送り、切り込み量を最適化する
適切な加工条件の設定は、工具寿命の向上、加工精度の確保、そして生産性の向上に直結します。
- 切削速度: 一般的に、ステンレスの加工では低~中速が推奨されます。高速すぎると工具摩耗が早まり、低速すぎると構成刃先が発生しやすくなります。工具メーカーの推奨値を参考に、試行錯誤しながら最適な速度を見つけましょう。
- 送り: 細物・小径加工では、過大な送りはワークのたわみや工具の折損につながります。比較的低い送りを設定し、慎重に調整していくことが重要です。
- 切り込み量: 小さな切り込み量で複数回に分けて加工することで、ワークへの負担を軽減し、精度向上につながります。特に最終仕上げでは、微小な切り込み量で高精度な面粗度を目指しましょう。
細物・小径旋盤加工に適した高精度な工具を選ぶ
細物・小径旋盤加工では、専用の精密な工具が不可欠です。
- 超硬バイト: 高硬度で耐摩耗性に優れ、ステンレス加工に適しています。ポジティブなすくい角を持つ工具は、切りくず排出性を向上させ、切削抵抗を低減する効果があります。
- 小径ボーリングバー: 内部給油機能付きのボーリングバーは、切りくず排出を促進し、工具寿命を向上させます。防振対策が施されたものを選ぶことで、びびりを抑制し、高精度な内径加工が可能になります。
- スローアウェイチップ: 高精度なチップブレーカー付きのチップを選定することで、切りくず処理の効率を高め、加工面へのダメージを軽減できます。ステンレス鋼の加工に適した材質のチップを選びましょう。
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