エジェクタピンとコアピンの豆知識

エジェクタピンとコアピンの豆知識

エジェクタピンの折損を防ぎ、ダイカスト生産性を向上させる秘訣④

第四回:最適な材質・熱処理と高精度仕上げの両立が、エジェクタピンの折損予防に繋がる

これまで三回に渡って「そのエジェクタピン、最適な特性になっていますか」「エジェクタピンは、強度と共に靭性に優れた材質を選択する」「エジェクタピンの耐久性は、窒化処理によって大きく左右される」をお伝えして参りましたが、最後にお伝えしたいことは「エジェクタピンは、高精度・高品質に仕上げられているものを選択しましょう」ということです。

エジェクタピンとエジェクタピン穴には適度なクリアランスが必要であることはこれまでのコラムでも述べた通りですが、適度なクリアランスが設けられずに押出板を固定すると、金型内のエジェクタピン穴に沿ってエジェクタピンがスムーズに動作することができません。従ってこのまま使用しますと、エジェクタピンの曲がり、カジリが発生し、どれだけ耐久性の高いエジェクタピンを使用しても折損してしまいます。また使用前から曲がりの大きいエジェクタピンを使用しても同様です。つまり、エジェクタピンの寸法精度は最適な材質・処理と共に重要な要素なのです。

秦精工では、最終工程でエジェクタピン軸の研削仕上げを行い、円筒度と真円度にバラつきがでないように、軸寸法レンジ0.02mm以下、真円度0.01mm以下で仕上げている上、独自のノウハウにより曲がりを最小限に抑えて製造を行っています。さらに、最終仕上げ工程では表面粗さがRz3.0Z以下になるように仕上げます。これは、折損を予防するためには表面粗さを小さくすることも重要だからです。表面粗さが大きいことは、応力集中、溶損、カジリ等の発生など、エジェクタピン折損の要因となります。

エジェクタピンの折損・耐久性でお困りの方は、これまで述べてきた「靭性に優れた材質」「十分な窒化処理」「高精度加工」が施されたエジェクタピンを採用することをお勧め致します。

なお、秦精工では、これまで紹介してきたエジェクタピン製造については、万全な品質管理体制を築いています。2005年ISO9001、2012年には航空機品質マネジメントシステムJISQ9100を認証取得しました(JISQ9100とはISO9001に航空・宇宙・防衛産業界固有の要求事項を加えて制定された規格)。もちろんエジェクタピンの製作部門にもJISQ9100を導入し、各工程での品質管理を徹底しています。最終工程では軸部と外観の全数検査を行い出荷、窒化処理についても処理毎ごとにTPの膨張量と硬さ測定を行うことで品質を保証しています。

また、外部機関との繋がりも充実しており、島根県、大学、近隣企業との産学官連携を強化し、製品開発や、お客様の要望に沿った分析試験が可能です。

最後に、エジェクタピンの折損でお困りの方、またエジェクタピンの耐久性を少しでも高めたいとお考えの方は、ぜひ秦精工までお問い合わせ頂ければと思います。秦精工は約半世紀前に製造を開始して以降、素材導入から最終出荷まで全数社内生産、社内管理と改善を徹底してきました。耐久性の高いエジェクタピンを、自信をもってお届け致します。

エジェクタピンでお困りの際は、いつでもお気軽にご相談ください。


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